築10年や20年といった物件はよく見かけますが、築40年はどうでしょう。
以外に、その数は確実に増えています。
 
国土交通省「築後30、40、50年超の分譲マンション数」では、2018年末時点で築40年を超えるマンションは全国で81.4万戸、同時点でのマンションストック総数が約654.7万戸とされているので、実に約12.4%が築40年以上ということになります。
 
さらに、10年後には現在の約2.4倍にあたる197.8万戸、20年後には約4.5倍の366.8万戸まで増えると予測されています。今後も築年数の古い物件は増加傾向にある、と見られます。

(◆国土交通省「築後30、40、50年超の分譲マンション数(平成30年末現在)」◆国土交通省「分譲マンションストック戸数(平成30年末現在)」)
 
これは裏を返せば、建て替えがそこまで進まないということにもなります。
権利の問題などから、老朽化したマンションの建て替えが進まず、そのまま売りに出されているという現状があるようです。
 
特に、駅前の好立地では、築年数の古い中古マンションの割合が高くなるようです。
好立地であるほど早いうちから開発が進んだため、築年数の古い物件が多いのでしょう。
  
これを裏付けるデータがあります。

東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)」によると、築年数別に中古マンションの平均価格・平均単価(1平米あたり)を見た場合、築26〜30年までは古くなるにつれ、値が低下していきます。
ところが、築31年以上になると平均価格・平均単価ともに再びアップするのです。(東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)」)
 
この理由としては、築年数31年以上の物件は好立地で価値が高い、ということです。建物の価値は、築年数が古くなれば下がりますが、立地が影響しているようです。
むしろ、好立地で買い手がいるからこそ、建て替えられずに残っているとも言えます。
 
このように考えると、好立地で安価な物件を探すのであれば、築40年以上の中古マンションは狙い目と言えるでしょう。

耐震基準で気をつけたいこと

一方で便利だからといって、安全性が伴わないなら購入すべきではありません。
 
もっとも気になる点が、耐震性です。
耐震性については、新耐震基準を満たしているかどうかが一つのポイントとなります。

分かれ目は1981年6月!
現在適用される新耐震基準は、1981年6月1日から適用開始になりました。
 
それまでの旧耐震基準では「震度5強程度の揺れで倒壊しないこと」などが定められていましたが、新耐震基準では「震度6強〜7程度の揺れにも耐えうること」が求められるようになりました。
 
旧耐震基準:建築物の設計において適用される地震に耐えることのできる構造の基準で、1981(昭和56)年5月31日までの建築確認において適用されていた基準をいう。
これに対して、その翌日以降に適用されている基準を「新耐震基準」という。
 
旧耐震基準は、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準として設定されている。技術的には、建物自重の20%の地震力を加えた場合に、構造部材に生じる応力が構造材料の許容応用力以下であるかどうかで判断される。
なお、新耐震基準は、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準として設定されている。(R.E.words不動産用語集「旧耐震基準」)
 
近年、2011年の東北地方太平洋沖地震、2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震など、たびたび震度7の大地震が発生しています。
 
こうした現状を踏まえると「1981年6月以降に建設されたかどうか」というのは、耐震性について一つの判断基準と言えます。
 
耐震診断は実施されているのか
もう一つの重要なポイントが、耐震診断が行われているかという点です。
 
旧耐震基準で建てられたマンションであっても、耐震性能に必ず問題があるとは限りません。
むしろ、構造によっては古くても十分に安全な場合もあるようです。
 
耐震診断が適切に行われていれば、築年数に限らず、耐震性の問題をクリアできるでしょう。
しかしながら、耐震診断を実施している中古マンションは数少ないのが実情です。少し前のデータにはなりますが、旧耐震マンションにおける耐震診断の実施状況は、2割に満たないとの調査結果もあります。(東京都都市整備局「マンション実態調査結果【概要版】(2013年3月)」)
 
もし耐震診断が行われていなければ、ホームインスペクション(住宅診断)を依頼するのも有効です

築40年のマンションを購入検討する際には、耐震性以外にも確認しておきたい点があります。
これについても簡単にご紹介しておきましょう。
 
配管設備の老朽化
たとえ目に見える設備が綺麗に保たれていても、配管が老朽化している可能性があります。
修繕済みなのか、近い将来修繕の予定があるのか、確認しておくと良いでしょう。
 
定期メンテナンス
築年数が古いほど、こまめなメンテナンスが欠かせません。
定期メンテナンスが行われているのか、管理体制に問題がないのか、確認しておきましょう。