リノベーションでどの程度壁に手を加えられるかは、対象物件の構造に左右されます。対象物件に現在お住まいの場合も、新たに購入される場合も、まずは建物の仕様書を手に入れましょう。そこにどんな構造で建

リノベーションで新たな間取りを考えるときに大きなテーマとなるのが壁の取り払い方です。
一昔前にメジャーであった個室を充実させてLDKが狭い間取りが見直され、近年では個室の数よりは空間の広がりが優先されるようになってきました。

既存住宅の間取りの窮屈感から、壁をなるべく取り払って室内に大空間を作り出したいとお考えの方は多いのではないでしょうか。
そこで問題となるのが耐力壁の存在です。どんな物件にも必ず構造上残しておくべき壁や柱が存在します。

今回は、リノベーションをする際の壁の取り方のコツと注意点をまとめてお伝えいたします。

リノベーションでどの程度壁に手を加えられるかは、対象物件の構造に左右されます。対象物件に現在お住まいの場合も、新たに購入される場合も、まずは建物の仕様書を手に入れましょう。そこにどんな構造で建てられているかが書かれています。

可能であれば、構造図と平面・断面の詳細図があると現況がさらに把握しやすくなります。
それでは、構造の種類ごとに説明していきます。

コンクリート(RC)造なら基本的にどこでもOK

柱と梁がボコッと見えている建物は、鉄筋コンクリート造のラーメン工法という方法で建てられています。

壁ではなく、柱と梁のフレームのみで躯体の耐力を生み出しているので、中の壁は基本的に後から取り外しが可能です。リノベーションでは一番取り扱いやすい構造ともいえます。
建物の四隅の柱と梁は残りますが、空間の真ん中に柱が残る場合はほとんど無いため、家全体を一旦スケルトンにして全く違う間取りにすることも可能です。

とはいえ、鉄筋コンクリート造であればどんな建物でも大丈夫というわけではなく、同じRC造でも壁で支える壁式工法で建てられている場合もあるので注意が必要です。

見分け方の一つとして、室内を見回したときに、梁や柱の形が出ているかどうかで判断できます。
柱型と梁型が見えずお部屋の形が綺麗な四角の場合は壁式工法で建てられている可能性が高いです。
壁式工法の場合は、壁が構造体の一部となっているので、既存の壁を取り外したり他の場所へ移動するのは容易ではありません。

理想のリノベーションを施すためにも購入の前に担当の方ときちんと確認するようにしましょう。

鉄骨造は柱の位置に注意

中規模マンションやアパートに多い構造です。こちらもフレームで耐力を生み出すラーメン構造なので、壁式工法やパネル工法の建物に比べたら比較的内装の変更はしやすいです。

しかし壁は取れたとしても、構造上必要な柱が残り、空間に鉄骨の柱がむき出しになってしまう場合があります。
軽量鉄鋼のスタイリッシュさをデザインに昇華することは可能ですが、むき出しの状態の鉄骨を錆による劣化から守るために、室内の湿気対策が必要になります。

木造の住宅に比べRC造や鉄骨造は素材が吸湿を行わないため、部屋の中に結露が発生しやすいです。そのため、窓の結露対策でペアガラスにしたり、既存鉄骨の防錆塗装を施したりと、いろいろとやっているうちにコストがかさんでしまう場合があります。

壁を取れば取るほどこのような対策に費用がかかってきますので、どの程度壁を取り払うかは予算と相談してください。

壁を取り払い、新しい間取りを作って見た目が綺麗になるのも大切ですが、同じくらい大切なのが建物そのものの品質を保つことです。

中古物件はそれまでの築年数に応じて劣化している箇所が少なからず存在します。防音性能、断熱性能にも目を向けて、リノベーションを施すことでさらに価値のあるお部屋にしたいですよね。
RC造でも鉄骨造でも、既存の壁を取り払って新しく壁を取り付ける場合、軽量鉄骨に石膏ボードを貼り付けますが、そのままでは素材全体が軽く、軽い素材は音を通しやすいので防音性に欠けてしまいます。

対策として、石膏ボードを重ね貼りをすることで音の伝わりが少なくなりより快適なお部屋になります。
また、新しく作る壁には軽量鉄骨の間に断熱材を必ず入れるようにしましょう。壁の中の空洞を充填させることによって断熱性だけでなく防音性も上がります。

その他に、湿気によるカビや黒ずみを防ぐには、仕上げに調湿作用のあるクロスを貼ると良いでしょう。自然素材の漆喰を塗ることも考えられますね。好みの仕上げに合わせて選んでみてください。

壁を取り払うのに制限がかかる場合はありますが、誰しも理想のお部屋のイメージがあると思います。
あのときこうすればよかった、と後悔しないように、疑問に思うことは専門家に積極的に聞きましょう。

リノベーションを専門にしているメーカーであれば、事例やノウハウが豊富で、壁の位置だけでなく、お部屋全体のトータルコーディネートまで安心して任せられます。