1つ目のポイントは、築年数と耐震性です。一般的に築年数が古くなれば価格は下がりますが、だからと言って築古のマンションを選べばよいというわけではありません。
価値低下は築20年を過ぎると緩やか
一戸建ての場合、木造住宅の法定耐用年数が22年とされているため、築20年程度で上物の価値が無くなると言われています。一方、鉄筋コンクリート造のマンションの場合には、法定耐用年数が47年とされているため、築20年でも上物の価値はある程度残っているようです。
ただし、築20年を超過すると、新築販売価格の半額程度まで下落します。また、東日本不動産流通機構のデータを参照すると、築21〜25年以降は物件価格の下落幅が小さくなっていることがわかりますね。加えて、築31年以上になると再び価格が上昇傾向にあるのです
このように考えると、中古マンションについても築20〜25年程度の物件を選ぶとお得に購入できる上に、資産価値が将来下がりにくいと言えるでしょう。
築40年前後は耐震性に注意
築20〜25年程度がオススメというお話をしましたが、より築古の物件を検討する場合に注意が必要なのは耐震性です。
現在適用される耐震基準の元になっているのが、1981年6月から適用されている「新耐震基準」です。それ以前の「旧耐震基準」が震度5強程度の揺れに耐えうることを基準としていたのに対し、新耐震基準は震度6強〜7程度の揺れでも倒壊しない基準へと強化されています。
つまり、2020年現在で築39年以上の物件は、旧耐震基準の下で建設されていることになり、築浅の物件に比べて耐震性が劣る可能性があるのです。
古いからと言って必ずしも耐震性に問題があるわけではなく、たとえば公団住宅は「壁式構造」という頑強な構造で、旧耐震基準でも十分な耐震性を有する場合があります。ただ、築年数40年前後の物件を検討する際には、耐震診断が行われているかどうか確認しておくとよいでしょう。
適正価格を見極める
新築マンションの場合、色々なオプションやグレードによって販売価格が大きく異なることがあります。一方、中古マンションはエリアや築年数によって価格が決定され、比較的相場が明確です。
中古物件を選ぶ場合には、必ず周囲の似たような物件をいくつか比較して、価格設定が適正なのかを見極めましょう。
リフォーム履歴が無い物件を探す
リノベーション用の中古物件を探す上で、ぜひ注意したいのがリフォーム履歴です。要するに、過去にリフォームが施されていない中古物件を探したほうがよいということです。
なぜかと言うと、リフォーム済の物件は、そのリフォームにかかった工事費や設備費が販売価格に上乗せされることになり、リフォーム前の物件に比べて価格が高くなりがちだからです。特にフルリノベーションする場合は、内装が古くても関係ありませんから、できる限りリフォーム履歴の無い物件を探しましょう。
しかしながら、古いまま放置していてはなかなか売り手がつかないため、多くの中古物件は何かしらのリフォームが施されています。リフォーム前の物件は少数派ですが、そのような物件を見つけたら優先的に検討してもよいでしょう。
中古マンション物件を購入する上での注意点、最後の3つ目は共用部と見えない設備の状況を確認することです。
手を加えられない共用部
中古マンションを購入した場合、どうしても個人でリノベーションできないのが共用部です。
オートロックや防犯カメラなどのセキュリティ、ゴミ捨て場や掲示板などの管理状況は、物件を内覧する際に合わせてチェックしておきたいところです。
また、可能であれば管理会社や管理組合の運営状況、修繕積立金の金額なども事前にチェックしておきましょう。こうした管理体制が整っていないと、日々の共用部管理や大規模修繕などが立ち行かず、資産価値が大きく下落してしまう危険性があります。
見えない部分に罠がある
もう一つ気をつけておきたいのが、目には見えない設備の状況です。特に電気配線や給排水管など、インフラに関わる設備は要注意です。これらの設備は築25〜30年程度が交換のタイミングと言われているため、老朽化している場合には修繕の予定があるかどうかも確認しておきましょう。
給排水管の材質は大きく分けて「金属系」「樹脂系」「金属と樹脂の複合」の3タイプがあります。時代や使用用途によりそれらが使い分けられているのですが、2000年以前のマンションであれば、材質によっては築25年前後で漏水や赤サビ等が発生する場合があります。
(出典:株式会社 恒栄工業:マンションの給排水管の寿命は?)
また、建物の管理規約も必ず確認しておきたいところです。内容によってはリノベーションプランが制限される場合もありますので、疑問点は事前に解消しておきましょう。