近年、日本の不動産市場ではリノベーションがブームになっています。マンション購入後に理想の間取りにリフォームしたい、または今住んでいるマンションをおしゃれにリフォームしたいと考えている方もいるでしょう。

しかしながら、リフォーム工事前の確認を怠ると、結果的にマンション管理組合とトラブルになってしまった、質の良くない業者に当たってしまったなどのケースに遭遇するかもしれません。
そこで、今回はこういったトラブルを未然に防ぐために、工事の前にあらかじめ確認しておくべきポイントをお伝えします。

マンションの建物部分は、専有部分と共用部分とに分かれており、2つの区分けは管理規約に規定されています。
例えば窓の枠は共用部分扱いなので居住者側で取り替えたりすることができません。

これは、窓枠が居住者側で変更可能になっていると、マンションの外観が変わってしまう可能性があるためです。
共用部分とされているもので特に注意が必要なのは、窓枠、窓ガラス(色の変更や、勝手に透明な窓をすりガラスに変えるなどしてはいけない)、網戸(張り替える時に勝手に色を変えたりしてはいけない)などです。

ただし、例えば築古マンションで防寒対策をしたい場合、既存の窓枠の内側にもう一つ窓枠と窓をつけるなどの工事は基本的に認められます。特にこのような工事の場合は、省エネ対策として行政から補助金が出る場合もあるので、行政のホームページなどを確認してみると良いでしょう。

マンションの中の「構造躯体」と「間仕切り壁」

RC造(=鉄筋コンクリート構造)マンションの部屋の壁は、鉄筋が入っていて建物の構造に関わりがある「構造躯体」と、単純に部屋を仕切っているだけの「間仕切り壁」とがあります。

例えば部屋をスケルトン構造(住戸全体を大きな一部屋の間取りにすること)にしたいと思っても、構造躯体に該当する壁を取り払うことはできないため、あらかじめ確認が必要です。
これは、構造躯体の壁に手を加えると建物全体の構造・強度に影響を及ぼしてしまうためです。
構造躯体は、何かを固定するためにネジや釘を打ち込むことも禁止されているので、日頃から注意しておきましょう。

なお、壁紙を張り替えるなどのことは、壁を壊したりするわけではないので、これは問題ありません。床のフローリングの交換なども同様です。

ただし、フローリングについては遮音性能や振動を和らげる性能などの確保を目的として、管理規約で製品基準が定められている場合があるので、要注意です。

リフォーム工事に当たっては、工事開始の2週間前までには管理組合に届け出の提出が必要など事前届け出を要する上に、その期日が定められている場合もあります。大半の場合、届け出書式は管理室に常備してあるまたは管理会社で保管していますので、マンションの管理会社に問い合わせてみましょう。

また、リフォーム工事は当然ながら大きな音が出るので、隣人トラブルを事前に防ぐためにもあらかじめ上下左右の住戸などには挨拶しに行くようにしましょう。

これは、近所づきあいが煩わしいという人もいるでしょうが、業者任せにせず、自ら出向くことが肝要です。この挨拶の有無によって近隣住戸の住民の印象が大きく変わってきます。